更新日 2021年12月01日
乳がんは女性がかかるもっとも多いがんで、年々増え続けています。発症年齢は50歳代がピークですが、30歳代から増え始めます。定期的に検診を受け、早期発見につとめましょう。唯一自分で発見できるチャンスがあるがんでもあります。
乳がんの危険因子
乳がんのおもな原因としては、過度の飲酒、喫煙、動物性脂肪のとり過ぎ、肥満、遺伝などがあげられます。また、女性ホルモンの分泌が深く関係しているため、初経が10歳以下だった人、妊娠・出産の経験がない人、授乳の経験がない人、初産が高齢だった人、閉経年齢が遅い人、また経口避妊薬(ピル)を使用している人(女性ホルモンの過剰摂取)などは、乳がんになりやすいといわれています。
乳がんは女性特有のがんですが、ごくまれに男性にも発症することがあります。
乳がんになりやすい人
- お酒が好きでよく飲む人。
- たばこを吸う人。
- 40歳以上の女性。
- 肉食中心で、動物性脂肪をよくとる人。
- 運動不足で肥満気味の人。
- 初経年齢が早い人や閉経年齢が遅い人。
- 妊娠・出産歴がない人や授乳したことがない人。
- 初産年齢が高い人。
- 経口避妊薬(ピル)をよく使用している人。
- 閉経後にホルモン補充療法を受けたことがある人。
(全国乳癌患者登録調査報告 第32号より)
症状
乳がんの症状といえば、乳房のしこりです。乳がんの大きさが、0.5~1cm ほどになると、自分自身でさわってわかるくらいのしこりになります。
がんが皮膚の近くまで達すると、皮膚がひきつれたり、表皮がただれたり、えくぼのようなくぼみがみられることがあります。リンパ節まで転移した場合は、わきの下がはれたり、腕のむくみ、しびれなどを覚えることもあります。乳首からの異常分泌物にも注意が必要です。
検査方法
一般的に「マンモグラフィ」という乳房専用のエックス線撮影検査が行われます。精密検査や人間ドックなどでは、さらに「乳房超音波検査」を行います。
また、乳がんは、ある程度の大きさになれば自分で発見することもできます。ふだんから自己チェックするとともに、早期発見のためにも、40歳を過ぎたら定期的に乳がん検診を受けましょう。
治療方法
状態に応じて「手術療法(外科療法)」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤治療)」「ホルモン療法」などの治療が行われます。現在、乳房をできるだけ切らない乳房温存療法が普及していますが、切除した場合でも乳房再建術による乳房復元も可能になっています。
乳がん自己チェック法
月経が終わって1週間以内の乳腺がもっとも安定した頃に、または月1回覚えやすい日を決めて自己チェックしましょう。
まずは目でチェック!
両手をおろした楽な姿勢で鏡の前に立ち、乳房の形、大きさ、皮膚の出っぱりやくぼみなどを確認する。両手で腰をおさえたり、両手を上げたり姿勢を変えたり、また鏡にうつす角度を変えてみると効果的。
さわってしっかりチェック!
- 左乳房には右手、右乳房には左手を使う。
- 3、4本の指をそろえ、指の腹でしこりがないか調べる。
- わきの下から乳首に向かって、渦巻きを描くように指を進める。
お風呂やシャワーのときに
- 石けんがついた手でぬれた乳房をよくさわる。
横になって
- 調べる乳房側の肩の下に折ったタオルなどを入れ、乳房を平たくしてから調べる。
- 調べる乳房側の腕を曲げ、手は頭の後ろに。
監修/森山 紀之(元 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)