肺がん

更新日 2021年12月01日

肺がん全体像

肺がんは日本人のがんによる死亡原因の第一位。いまもなお増え続けています。一番の危険因子は喫煙です。肺がんは大きく「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に分けられ対処の方法が変わります。

肺がんの種類

種類

非小細胞がん 小細胞がん
腺がん 扁平上皮がん 大細胞がん
好発部位 肺野
腺がん
肺門・肺野
扁平上皮がん

肺野
大細胞がん

肺門・肺野
小細胞がん
特徴 肺の周辺部に多くできるがん。日本人にもっとも多く、進行は遅いが転移しやすい。女性ではこのタイプが多く、非喫煙者での発症もある。 肺の中央部、比較的太い気管支に多くできるがんで、早期に症状が出現しやすい。とくに男性に多くみられ、喫煙との関連性が高い。 気管支の先端、末梢部に多くでき、腫瘍細胞が大きい。成長速度や転移が速く、抗がん剤や放射線は効きにくい。発生割合は少ない。 肺の中心部に多くでき腫瘍細胞は小さい。進行速度や転移が速く、肺がんのなかでもっとも危険なタイプだが、抗がん剤や放射線療法は比較的効果が高い。
発生頻度 50~60% 25~30% 数% 約20%

原因

肺がんの最大の原因は、なんといっても喫煙です。アスベストなどの粉じんや大気汚染なども発症に影響し、まれに遺伝による場合もありますが、喫煙による肺がんのリスクは非常に高く、たばこを吸い始めてからの年数が長いほど、あるいは1日に吸う本数が多い人ほど肺がんになりやすいことが分かっています。
喫煙については、喫煙者本人だけでなく、周囲の人がたばこの煙を吸わされる、いわゆる受動喫煙者も、肺がんになるリスクが倍になるというデータも出ているため、注意が必要です。

男性の喫煙と肺がんの関係

  男性の喫煙と肺がんの関係

  (財団法人がん研究振興財団「がんの統計 2005」より)

受動喫煙者の肺がんリスク

受動喫煙者の肺がんリスク

  (厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究からの成果報告2007年より)

症状

治りにくいせき、血たん、胸痛、息切れ、呼吸困難などの症状がみられます。ただし、これらは進行してからよくみられる症状で、初期の肺がんでは、ほとんど自覚症状はみられません。

治療方法

がんのタイプや進行度に応じて「手術療法(外科療法)」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤治療)」を、単独あるいは併用して治療します。最近では、低出力レーザー光線でがん細胞を攻撃する「光線力学的治療」や、胸腔鏡によるがん切除手術など、大きく開胸しない治療法も行われています。

検査方法

一般の肺がん検診では、肺全体をエックス線で撮影する「胸部X 腺検査」と、たんを採取してがん細胞の有無を調べる「喀痰細胞診」が行われます。
精密検査や人間ドックでは、「胸部CT 検査」や「内視鏡検査」など、さらにくわしく調べるための検査が行われます。
CT 検査の導入により、導入前とくらべて5 年生存率が30%アップしているというデータも出ています。肺がんは、早期発見が非常に大切ですので、少しでも異常があれば必ず精密検査を受けるようにしましょう。

監修/森山 紀之(元 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)

肺がんについて、詳しくは国立がん研究センターのサイトもご覧ください

肺がん(国立がん研究センターがん情報サービス)

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