更新日 2021年12月01日
子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんの2 種類があり、原因や症状などが異なります。子宮頸がんは30~ 40 歳代に多く、20 ~ 30 歳代でも急増しています。子宮体がんは50歳代の発症が多く、食生活の欧米化などにともない増加傾向にあります。
子宮頸がんと子宮体がん
子宮の入り口付近の頸部にできるがんを子宮頸がんといい、子宮の奥にある体部の内膜にできるがんを子宮体がんといいます。子宮頸がんは、子宮がん検診の普及や診察も容易なことから、早期の発見が可能ながんといえます。一方、子宮体がんは症状も出にくく、検診でも発見されにくいため、発見が遅れがちになる傾向があります。
子宮頸がんの原因と症状
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染がおもな原因です。HPV は性交渉で感染するウイルスで、欧米では性感染症として認識されています。性行為を始める年齢が若いほど、また性交渉の人数が多いほど感染へのリスクが高くなるといわれています。HPV感染予防のためのワクチンがあり、ある程度の予防効果が期待できます。
初期には症状はなく、進行にともない、月経とは無関係な不正出血、性行為の際の出血、異常なおりものなどがみられるようになります。さらに進行すると、排尿障害や下腹部痛などが出る場合もあります。
子宮体がんの原因と症状
子宮体がんは、動物性脂肪を多くとる人に多いことが知られています。そのため、近年の食生活の欧米化により日本でも急増しています。また、女性ホルモンとの関係が深いため、月経不順の人、閉経年齢が遅い人、妊娠・出産歴がないか少ない人、高齢で出産をした人などがかかりやすいといわれています。
おもな症状は、月経とは無関係な不正出血や異常なおりもので、とくに閉経後に少量の出血が長く続く場合は注意が必要です。早めに婦人科を受診しましょう。
検査方法
通常の子宮がん検診は、子宮頸がんの早期発見を目的として行われています。検診では、子宮頸部、内膜の組織を採取してがん細胞の有無を調べる「細胞診」が行われます。短い時間でかんたんにすむ検査です。不正出血や月経異常、褐色のおりものなどがある人は、医師の判断などにより子宮体がんの「細胞診」が行われます。子宮奥部の内膜の検査には多少の痛みをともないます。
治療方法
子宮頸がんでは、がんの場所や進行度、状態に応じ、「手術療法(外科療法)」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤治療)」が選択されます。早期がんで今後の妊娠・出産を希望する場合、円錐切除レーザー療法が行われることもあります。
子宮体がんも頸がんと同様の治療方法が選択されますが、基本は子宮全摘出術となります。早期がんで子宮温存を希望する若い世代の場合、子宮体がんに有効な「ホルモン療法」が行われています。
監修/森山 紀之(元 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)
子宮がんについて、詳しくは国立がん研究センターのサイトもご覧ください
子宮頸がんチェック
子宮頸がんチェック(女性の健康推進室 ヘルスケアラボWEBサイト)